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2015/01/07

国際ジェンダー学会 第6期第2回研究交流会
「ジェンダーから考える軍事化・安全保障」報告

 第6期から学会の活発な研究交流を目指して「研究交流会」を開催している。2014年12月6日(土)の第2回研究交流会では、国際連合安全保障理事会で採択された決議1325号の日本の国内行動計画をトピックに、「ジェンダーから考える軍事化・安全保障」と題して会員間の交流をはかった。

 2000年に国際連合安全保障理事会で採択された決議1325号「女性・平和・安全保障」は、軍事・男性中心だった安全保障にジェンダーの視点と女性の参加をうながした。この1325号決議を日本が実施するための行動計画案は、1年近くにわたる市民社会・学識経験者・政府間の協議にもとづいて起草され、2014年9月末から10月のパブリックコメントを経て、2014年内にも策定される予定であった。一方で日本政府は、特定秘密保護法制定、集団的自衛権行使の議論も進めており、行動計画が真に1325号決議の理念を実現するものとなるためには、注視が必要である。
 本交流会は、ラウンドテーブル形式をとり、前半は2名の報告者が、軍事化された社会におけるジェンダー規範の事例および日本の行動計画の草案のポイントを話題提供し、後半は参加者同士で議論した。
 第一報告は、韓国社会での軍事化の事例を、19世紀から掘り起こし、植民地化と朝鮮戦争の経験を経た軍事化によって伝統的な男性性・女性性が強化されてきたことを指摘した。
 第二報告は、日本版国内行動計画の特徴として、次の6点をあげた。①他の「先進国型」国内行動計画と同様に、国内課題よりも海外支援が中心である、②1325決議には入っていない、自然災害分野を導入した、③女性・女児だけでない、広く脆弱性の高い多用な層を想定している、④成果達成を観察するモニタリングを重視し、指標のプランニングがある、⑤3年後の見直しを想定している、⑥在日米軍という外国軍の暴力にも言及している。さらに、日本版1325国内行動計画と現政権の「女性活用」政策との関連を捉える際の論点も提示した。
 後半のディスカッションでは、軍事とジェンダー平等との関連をいかに捉えたらよいのか活発に議論が交わされた。与えられた時間では議論がつきず、さらに今回は、国内行動計画策定過程の議論が中心だったため、国内計画が策定された後に、再び議論の場を設けてみたい。
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一橋大学大学院社会学研究科
博士後期課程
 跡部 千慧 ATOBE Chisato

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